【ペットフーディスト】愛犬の健康と幸せを食事から考える
飼い主なら誰でも愛犬の健康を願います。
朝起きてから寝るまでの間にご飯を食べてお昼寝したり
お散歩に行ったり、飼い主さんと遊んでみたり。
お散歩や遊びに関してはペットの方から誘ってくることも多いので
あまり迷うことは無いかもしれませんが、飼い主をもっとも悩ませるのは毎日の食事です。

ペット達は人間のように喋ることは少ないですが、
気に入った食事やおやつ以外は食べない子が多いです。
そしてインターネット上には様々な意見があり、これがいいとかあれが悪いなどと様々な意見が取り交わされています。
様々な見解や立場からの意見があるので飼い主は頭を悩ませます。
最も優先的に考えなければいけないのは自分の愛犬の健康と幸せです。
私は愛犬たちに正しい知識を身に着け、少しでも長く健康に過ごしてほしいと考えてペットフーディストの資格を取得しました。
ほとんどの方がすでに決まった食事やおやつのパターンがあると思います。
しかし、間違った思い込みや考えがないか今一度確認しながら読んでみてください。
【はじめに1】動物の5つの自由
動物の権利を定義するための最も総合的な取り組みのひとつは
1965年、イギリスのブランベル委員会の発足とともにスタートしました。
この委員会は議会によって成立されたもので、農場における動物の福祉を再検討し
動物が生活するための最低限の基準を確立するものです。

委員会は犬や猫を含む全ての動物が持つ最低の自由として
「5つの自由」を啓発しました。
現在では国際的に認知されている動物の福祉の指標であり、いかなる状況下であっても
この「5つの自由」はすべての動物に与えられなくてはならないと考えられています。
動物に関わる全ての人に知っておいていただきたい内容です。
1.飢えや乾きからの自由
健康維持のために適切な食事と水を与えること

2.痛み、負傷、病気からの自由
怪我や病気から守り、病気の場合には十分な獣医療を施すこと

3.恐怖や抑圧からの自由
過度なストレスとなる恐怖や抑圧を与えず、それらから守ること。
動物も痛みや苦痛を感じるという立場から肉体的な負担だけでなく、
精神的な負担もできうる限り避けること。

4.不快からの自由
炎天下の日差しや雨、風をしのげること。
身動きもできない狭い場所、糞尿にまみれた状態、日よけのない炎天下
雨や風、騒音などにさらされた飼育環境は動物にとって望ましくありません。

5.自由な行動をする自由
各々の動物の生態、修正に従った自然な行動が行えるようにすること。
群れで生活する動物は同種の仲間の存在が必要です

これら5つの自由を前提として、犬や猫たちの生活の質を高めるための手段の一つとして食事があります。

【はじめに2】自然治癒力とホメオスタシス
適切な食事を考えるために生物が本来持っている「自然治癒力」と「ホメオスタシス」を理解します。
1.自然治癒力
外部からの様々な刺激に対応して健康を保とうとする働き。
転んで傷を作ってもかさぶたができて修復することがある。
ウイルスに感染して風邪をひくと、自ら発熱してウイルスを死滅させたり、
体の中にがん細胞ができてもそれを消去したりできる。

2.ホメオスタシス(恒常性)
気温などの外部環境の変化や、運動などの身体的変化に応じて
体内環境を一定範囲内に保とうとする働き。
体温や血糖値などを一定範囲に維持したり、ウイルスを死滅させたり
体内の老廃物を排出したりすることも「ホメオスタシス」によるものです。

これらの自然治癒力・ホメオスタシスが正常に機能していると
・病気にかかりにくい体をつくる
・万が一病気になっても回復が早く、動物自身もその家族も負担を低減できる
・症状や苦痛を軽減することができる
・老化を遅らせる
一方で生体の持つ自然治癒力やホメオスタシスを超えた刺激が加わったり、
うまく働かなくなったりしたときに病気になります。
その原因は様々です。

自然治癒力やホメオスタシスの働きが低下する原因
・遺伝的な体質
・栄養不良
・強い物理的な力
・環境からの肉体的なストレス(猛暑、化学物質、放射能など)
・精神的なストレス
・老化
病気でないときに自然治癒力を高め、ホメオスタシスが正常に機能する状態を維持して
病気にかかりにくい身体と心を作っておくことがとても重要です。

この自然治癒力やホメオスタシスを弱める原因の一つでもあり、
逆に高めるために最も重要といわれるのが「食事」です。
適切な食事を考えるためには、犬や猫が生まれながらに持つ「自然治癒力」や「ホメオスタシス」を引き出すことが重要です。
しかし、食事だけが「自然治癒力」を引き出す方法ではありません。
食事だけですべてを解決するのではなく、心や環境、身体のケアすべてが
最良のクオリティ・オブ・ライフに繋がっていきます。
【はじめに3】ペットフーディストの役割と提案
ペットフーディストの役割を理解していきます。
知識があることで役割を忘れがちですが、下記を心に留め
日々を過ごすようにしてください。
ペットフーディストは「食事」を通じてオーナーとパートナーに
「共に暮す喜び・健康・笑顔」を届ける人のことです。
食事や食事の時間は栄養補給だけが目的ではありません。
オーナーにとっては愛情表現の一つであり、犬や猫にとってはオーナーとの幸せな時間です。
不適切な食事は健康を害する可能性がありますが、病気の原因は食事だけではありません。
食事だけでは病気の治療はできませんが、治療を助けることは可能です。
ペットフーディストの役割はこれらを前提として、単に栄養指導を行うことやペットフードを選ぶことではありません。
オーナーと犬や猫に寄り添って食事の悩みを解決する中で、オーナーとパートナーの生活を豊かにすることです。
同じ物事でも理論や見方が変われば解釈が異なることがありますが、どちらか一方が正しくてどちらかが間違っていると決めつける必要はありません。
その時その時によってベストなものを選択することが大切です。
特に食事に関しては正解、不正解はありません。
・ペットフード派/手作り派
・国産派/輸入派
・時間と手間をかける/購入費用をかける
今の世の中では情報が溢れていて時にオーナーを不安にさせます。
「こうでなければならない」といった考えを捨てて、適切な知識を身に着け
オーナーの価値観や考え方も踏まえて提案内容を考えることが必要です。
忘れてはならないのが獣医師との連携です。
どんなに知識を身に着けたとしてもペットフーディストが診断、治療、意思決定できるものではありません。
病気や不調の時の食事は必ず獣医師に確認を取りながらアドバイスするようにしましょう。
どれが良いということだけではなく「食事」というものを適切に理解し、
犬や猫の自然治癒力を高めるための提案をするのがペットフーディストの役割です。
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